大阪府東大阪市に本社を構えるヨコタ工業株式会社(以下ヨコタ工業とする)は、大正8年の創業以来、一貫して製造現場を支える携帯型動力工具、いわゆるパワーツールを製造している。パワーツールは手に持って使用するため、その能力や生産性に加えて軽量で低振動、低騒音であることが求められる。製造現場におけるパワーツールの要は多岐にわたり、ヨコタ工業の製品も国内外問わず、造船・航空機・建設・鉄道車両や自動車・二輪車等あらゆる組立産業で使用されている。近年では特に締結工具とその技術開発に注力し、単純締結からポカよけ、トレサビリティを可能とする精密工具まで、動力源もエア駆動から電動、そしてバッテリー式ワイヤレス工具に至るまで幅広い商品を販売している。

 

魅力ある商品作りを通して社会に貢献する

製造現場を支える方々が快適に安心して作業し、高い品質と生産性を実現するお手伝いをする、これがヨコタ工業の使命であると考えている。社員一人ひとりが継続的な改善を通してお客様に高い価値を提供していくことで、何かあれば真っ先にお声をかけていただける存在であろうと常に心掛けている。

 

 

作業者の負担と導入までの懸念

クーラント希釈作業においては移動と濃度調整で無駄な作業時間が発生しており、作業者の負担になっていた。また手動で原液を攪拌するため、作業者による希釈のばらつきによりクーラントの品質が不安定になりクーラント液起因の設備稼働停止が発生していたという。作業者への負担だけでなく製品納期や設備にも影響を与えていた。

クーラント自動希釈装置を導入するにあたって2つの懸念点があったという。1つ目は水圧でクーラント原液を吸い上げて希釈するという構造上、温度変化等の水道環境により濃度にばらつきが生じてしまうのではないかという点である。しかし運用後、ほとんどばらつきは無く年に2回の更液のタイミングで濃度確認していれば一定の濃度で希釈されていた。2つ目はドラム缶(200L)へ直接装着し運用する予定でオプションのブラケットを同時購入したが脱着時間がかかるのではないかという点である。しかし脱着作業の時間は固定用ボルト2本を緩めるだけで済むため、見積もっていた作業時間より短くなり、より費用対効果を生み出すことに成功した。

 

 

作業時間を年間約230時間削減に成功

そして製品を導入した結果、クーラント希釈作業に含まれる作業時間、希釈時間を合わせて年間約230時間の作業時間を削減することができた。希釈が自動化されたことによりクーラントの濃度のばらつきや品質が向上され、クーラント起因による設備稼働停止が無くなり、年間約14時間の対応時間が削減され、クーラント希釈作業時間と設備復旧作業時間を合わせて約75万円の費用対効果に繋がった。

今後も継続して使用したいと担当者は語る。ただ、運用後の課題にはなるが機械ごとに稼働率やタンクの大きさが異なるため、継ぎ足すクーラント量が機械ごとに異なり、運用経過時間に比例して濃度に差が出てしまう。従って機械ごとに継ぎ足すクーラントの濃度を分ける必要があるため機械毎に希釈装置のダイヤルを設定して使用しているため、将来的にはこの部分も簡素化を進めていきたいと語っている。

 

 

ヨコタ工業株式会社の今後の展望

労働人口減少に伴い、業界問わず人材確保が困難になると予想される中で生産能力を向上させ続けるためには製造工程での省人化・自動化が不可欠となる。多品種小ロット生産の弊社では規模の大小にかかわらず省人化・自動化に尽力する必要があると考えている。今回クーラント自動希釈装置の導入を通じて部分的で簡易的な自動化であっても非常に有益であることを認識することができた。今度も省人化・自動化の推進に取り組んでいきたいと担当者は語る。

 

 

  

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